治療について
産婦人科の治療について
多嚢胞性卵巣症候群とは?
卵巣(左右にひとつずつあります)に、小さいのう胞(卵子が入った袋=卵胞)がたくさんあり(だから多嚢胞)、なかなか排卵しにくい卵巣の状態のことです。
症状は?
⚫︎生理がこない(無月経、稀発月経)
⚫︎不正出血を繰り返す
⚫︎妊娠しにくい
⚫︎にきび
⚫︎毛が濃い
⚫︎肥満 などがあります。
診断するには?
2024年に診断基準が改定されました。
1.月経周期異常→生理の周期の異常、生理があまりこない、生理は来るが無排卵の生理をくりかえしている
2.多嚢胞性卵巣あるいはAMH高値→エコー検査(特に内診で)で卵巣に小さい丸がたくさんみえる、
3.高アンドロゲン血症(男性ホルモンが高い)、またはFSH 上昇を伴わないLHの基礎分泌高値(LH>FSH)
(日本産科婦人科学会 生殖・内分泌委員会,2007)
この3つが全て揃わないと診断出来ないのですが、そこにバッチリ入らなくても、PCOSぽいなという方で、「多嚢胞気味と言われた」という方もおります。
原因はあるのですか?
実際のところはっきりわかっていないことが多いです。
しかしながら、インスリン抵抗性が高い(糖尿病ぽいというイメージ)があると起こることがあるので、BMIが高めの方はゆっくり大樹を減らしていくといいかもしれません。
治療はどのようにするのですか?
PCOSは病気というより体質ととらえていただくとわかりやすいかもしれません。
治すというより、うまく付き合っていくようなイメージです。
ただ、例えば糖尿病がある、あるいは糖尿病になりやすい状態(インスリンという血糖を下げるホルモンが効きにくい)、あるいは肥満などがある方はそれが原因となっていることも多いです。その場合には、糖質制限、ゆっくり体重を減らしていくことが治療になりますので、そこはご自身でも頑張りましょう。
具体的なPCOSの治療に関しては、【生理の目的は排卵して妊娠すること】ということが治療法を選択する原則になります。
⚫︎妊娠を今まさに望んでいるのか
⚫︎生理痛はあるのか
⚫︎生理が不規則でいつ来るかわからなくて困っているのか、あるいは全く生理が来なくて困っているのか
ご自身はどこにどう悩んでいるのかを教えていただけると、治療法の提案がしやすくなります。
今まさに妊娠を考えている場合には、排卵誘発剤(排卵するため卵子を育てるお薬)の使用、不妊治療をお勧めします。
今すぐ妊娠の希望がない場合、どのように治療をするのですか?
今すぐは妊娠は考えていない場合には、なかなか生理が来ない、あるいは排卵をしないままの不正出血のような生理を放置すると将来どうなるかということを考えます。
PCOSの方の無排卵の不正出血や無月経は、生理のときに剥がれてくる子宮内膜という部分ずっと残ってしまうことが原因で、将来的な子宮体がんのリスクが高まります。
子宮の中の膜を定期的に剥がしてあげる治療(ホルムストロム療法)、あるいは、そもそも子宮の中の膜を育てないピルなどのホルモン剤もおすすめです。
ピルなどのホルモン剤は子宮を癌から守ってあげるだけではなく、卵巣がんの予防や、生理痛の治療にもなります。
また生理痛がひどい方は、それを放置することで将来子宮内膜症が起こるリスクが高いと言われています。子宮内膜症は発症すると不妊症や卵巣がんの原因となるものなので、生理はあまり来ないけれども来たとき痛みが強いという方には、ご自身の将来のためにもピルなどのホルモン剤がお勧めです。
生理痛があるけど我慢しています。放置してもよいでしょうか?
生理痛は放置すると子宮内膜症という病気の原因になると言われていて、子宮内膜症は、不妊症や卵巣がんの原因にもなる病気です。ピルなどのホルモン剤はその内膜症の治療や発症を予防する効果があります。
ピルなどのホルモン剤は避難を希望する場合でなければ、もちろん保険適応です。
種類によっては、ニキビに効くもの、定期的に生理のような出血を起こすことで予定をたてやすくするもの、生理痛がひどい方には、なるべく生理をこさせなくするものなど、様々あります。
しかしながらいわゆるピルには、内服の基準(飲まない方がいい人、飲んでもいいけれども副作用に注意する必要がある人)があります。
副作用が怖い、という意見もありますが、定期的に検診を受けていただいて、リスクが少ない方が内服される分には快適な時間が増えるものになります。
また、もちろんピルが望ましくない方にもピルのようなホルモン(ジェノゲストあるいはミレーナを子宮内に挿入する)などが提案できます。
ご希望があればぜひ受診の際にご相談ください。
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