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腹痛が長期間続き様々な検査をしても異常はないと言われた…このような慢性腹痛でお悩みの方はいらっしゃいませんか?
お腹の痛みは、内臓由来の痛みと腹壁由来の痛みに分類されますが、このうち腹壁由来のものの原因として anterior (or abdominal) cutaneous nerve entrapment syndrome(ACNES、アクネス)があります。
腹部の感覚は、肋間神経の前皮枝が腹直筋を貫き皮膚の知覚を司っていますが、腹直筋の中を貫く部分で何らかの原因で神経の圧迫が起こることで支配部位の痛みが起こります。
ACNESでは、CTやMRI、胃カメラなどで異常所見はみられないので、「特に異常はないですよ」といわれてしまうこともあるかもしれません。
ACNESでは、腹部のごく狭い範囲に「動くとピキっとした痛みが起こる」「服が擦れると違和感がある」このようなな痛みの症状になることが多く、特に右側に起こることが多いです。
原因として、外傷や手術,急激な運動, 腹壁筋の筋力低下・肥満・腹水・妊娠などによる腹壁の 緊張から起こるとされていますが、思い当たることははっきりしないとおっしゃる方が多いです。
ACNESは下記の項目を参考に診断します。
1.腹壁の片側一箇所に圧痛点(トリガーポイント)がある
2.圧痛点は腹直筋の外縁より内側で小さい範囲 に限局
3.Carnett’s test が陽性
4.血液検査・画像検査で異常を認めない
5.局所麻酔薬注入後疼痛が軽快する
治療は、圧痛点に合わせて局所麻酔薬のトリガーポイント注射、超音波ガイド下に腹直筋鞘ブロックを行っています。一度の治療で軽快することは稀で、症状が再燃する場合が多く数ヶ月の期間で治療が必要になることが多いです。症状に応じて神経痛治療薬やトラマドールなど内服併用したり、難治性の場合は神経切除術も考慮されます。
また、脊髄神経は脊髄に近い部位から、後皮枝、外側皮枝、前皮枝を分枝します。前述の通り、前皮枝に原因があるとACNESといいますが、
外側皮枝に原因があり側腹部に痛みが出る場合をLACNES(lateral cutaneous nerve entrapment syndrome)
後皮枝に原因があり背部に痛みが出る場合をPOCNES(posterior cutaneous nerve entrapment syndrome)
といいます。
このような長引く痛みでお悩みの際には、お気軽にご相談いただければと思います。
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