治療について

産婦人科の治療について

不妊の検査について知りたい

不妊治療の検査は月経周期にあわせて行います。

▶月経2〜7日目(最も理想的なのは3〜5日目)

① 低温期ホルモン採血(FSH、LH、E2、PRL、テストステロン)

排卵障害、卵巣機能の低下などがないかを確認します。不妊原因のうち排卵障害は20%以上を占めると言われそれに関わるホルモン検査は非常に重要です。生理3〜5日目(難しければ2〜7日目)に採血を行います。

② AMH(自費6600円)

AMHとは抗ミュラー管ホルモンの略で、卵巣内にどれくらい卵の数が残っているかを示し卵巣予備能を知る指標になる  と考えられています。ステップアップや治療の方針をたてるときに参考になるもので、妊娠のしやすさを示すものでは全くありません。卵胞期(生理2〜7日目)の検査をお勧めします。

③ 超音波での卵巣予備能(AFC)の確認

排卵誘発剤を使用する場合には薬剤選択のため特に重要となります

生理が終わってから排卵前まで(〜月経12日目程度)

① 子宮卵管通水検査(ネット予約不可、平日のみ

卵管通水検査とは、経腟超音波下に卵管の疎通性(通っているかどうか)を調べる検査です。検査は生理が終わってから排卵までの時期に行います。検査当日までは避妊してください。検査の予約は電話か処置室でのみ行います。事前にクラミジア感染がないことの確認が必要です。なお、材料費が別途発生します。

② 超音波での排卵日のおおよその推測

▶ 排卵日前(月経11〜14日目頃)

① フーナーテスト(受診の9〜14時間前に性交渉をもってください)

排卵日頃に性交渉をもっていただき、おりものの中にいる精子の数や運動の様子をみます。

検査の9〜14時間前くらいまでに性交渉をもってください。

おりものの中に動かない精子、その場でくるくる回るだけのような精子しかいない場合は、精子の運動能力を落とし  停止させてしまう抗精子抗体の存在が疑われますので、検査をお勧めします。精子が全くいない場合には、精液検査を早めにお受けいただくことをお勧めします。排卵日と離れた時期だとおりものが少なく、正しい結果が出ないこともあります。その場合には、再検査が必要です。

※抗精子抗体(自費6600円)(フーナーテスト不良のときおすすめします)

抗精子抗体は精子に対する抗体で、精子に結合することで精子の運動機能を障害し子宮の中への進入を阻害したり、胚分割の抑制や異常胚分割を起こすことで不妊の原因となると言われています。また、初期流産の原因になるとも言われています。採血で検査します。

② 超音波で排卵日のおおよその推測

排卵後約7日

① 高温期ホルモン採血(E2、P4)

プロゲステロン(黄体ホルモン)は、排卵した後の黄体から分泌されます。妊娠の維持に重要なホルモンで、排卵の良否の指標にもなります。排卵後7日目頃に検査をします。

② 超音波での排卵の有無の確認

生理の時期と関係がない検査(すべて採血検査になります)

① 甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンは排卵や月経、妊娠や赤ちゃんにとっても非常に重要です。低下症、亢進症いずれも無排卵、無月経、黄体機能不全、流産率や早産の増加など様々なリスクの原因になります。

② クラミジア抗体

クラミジア感染症は、卵管の閉塞や、卵管周囲の癒着によって卵管に卵子が取り込まれにくくなるために不妊症になります。  なかなか妊娠しない場合には採血でのクラミジア抗体の検査が重要です。

③ 風疹抗体(自費1100円、北区在住の方は公費、一部条件あり)

風疹に免疫のない女性が妊娠中に風疹ウイルスに感染すると子宮内の赤ちゃんも風疹に感染してしまいます。感染した赤ちゃんは心奇形、難聴、白内障などが起こる先天性風しん症候群と呼ばれます。風疹はワクチンによって予防できる代表的な感染症です。妊娠前に抗体を調べることで、安心して妊娠生活を迎えることができます。風疹ワクチンは生ワクチンのため妊娠中は接種できません。ワクチン接種後2ヶ月間の避妊が必要です。北区に住民票がある方は北区の助成で検査が受けられます。ご自身で北区のホームページから申請をお願いします。

④ HOMA-IR(耐糖能検査、排卵障害があれば保険、その他自費1700円)

排卵障害がある方にお勧めします。不妊症や排卵障害の原因に糖尿病があります。多嚢胞性卵巣症候群の方、あるいは肥満のある方ではインスリン抵抗性が認められ、それによって排卵障害が起こることがあります。また、妊娠初期の高血糖は胎児奇形や流産のリスクになります。空腹時の採血(可能ならば10時間以上、最低2時間以上の絶食)が必要です。

⑤ 抗精子抗体→採血の時期はいつでも可能、詳細は上記

⑥ ビタミンD(自費4950円)

不妊でお悩みの方は低値のことが非常に多いです。妊娠出産とビタミンDは密接に関係しており、ビタミンDが低いと、妊娠率の低下、初期流産の増加、着床障害、不育症のリスクになるだけでなく、ビタミンDが低値の方は見かけ上のAMHが低くなる(卵巣機能が悪くなる)と言われています。逆にPCOSの方はビタミンDを補充することで排卵しやすくなります。妊娠後も、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクになるだけでなく、子宮内胎児死亡や新生児死亡、早産や低出生体重児のリスクになると言われています。

⑦ DHEA-S(自費3300円)

年齢が心配なとき、AMHが低い方にお勧めします。DHEAはデヒドロエピアンドロステロンの略で、副腎や卵巣から分泌され男性ホルモンや女性ホルモンの原料となるホルモンです。DHEAの働きとして、体脂肪の減少、免疫力の改善、うつの改善、精力の増進、さらにDHEAが高いほど長生きである可能性も報告されておりアンチエイジングの分野でも非常に注目され「若返りのホルモン」「長生きホルモン」と言われています。DHEAは20歳をピークに徐々に分泌量が低下し、40歳になる頃にはピーク時の半分しか分泌されず、80代ではほとんど分泌されなくなります。アンチエイジングのみでなく、不妊治療においても非常に重要で、卵巣予備能が低下している方(AMHが低い、FSHが高い、40歳以上など)では低下が疑われます。そして4~5ヶ月のDHEAの摂取により、血中AMH量の増加、妊娠率が有意に増加するという報告があります。DHEAの適応を判断する指標として、血中DHEA-S(DHEAの代謝産物)を測定します。補充にはサプリが必要ですが、日本ではDHEAを含む製品は法律上医薬品とみなされるため、店頭での購入は出来ません。なお、肝油などに多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とは別物です。

⑧ 銅亜鉛(自費3300円)

生化学的妊娠を繰り返す、不妊期間が長い方にお勧めします。子宮内に銅の避妊具を挿入すると100%に近い確率で避妊に成功します。これは銅が受精卵の子宮内膜への着床を阻害するためと言われています。銅と亜鉛は体内でバランスをとって存在しており、血液中に亜鉛が多くある状態では銅の吸収が抑えられ、銅がある状態だと亜鉛の吸収が抑えられます。銅と亜鉛のバランスをみて、銅が多すぎる場合にはそれが妊娠しにくい原因となっている可能性があるため、男性の場合には亜鉛が不足すると男性ホルモンの合成や分泌の低下、さらに精液中の亜鉛濃度が低いと精子形成が低下すると言われています。

精液検査

  • 不妊カップルの半数に男性側に原因があるといわれています。原則皆様検査をお勧めします。検査には2〜7日の禁欲期間が必要です。専用容器をお渡しします。容器お渡しの際に容器代が別途発生します。
  • インターネット予約が可能です。容器をクリニックで受け取られた方のみご予約が可能です。
  • 予約は【精液検査】からお願いします。ご予約の際には「連絡事項」の部分に必ずパートナーの診察券番号、氏名をお願いします。電子カルテ上連動させるために必須となりますパートナー不明のご予約は自費の検査となりますので必ずご記入ください。検査を受けるご本人のお名前でご予約ください。

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